第6回IIABJコンベンション
2012年6月15日・16日
初日の基調講演は、慶應義塾大学先導研特任教授の保井俊之先生による「価値協創型の保険と代理店・ブローカーの役割」であった。
先ず、“サービス科学の進展と価値協創システム”の中で、サービス産業の雇用効果や、サービス輸出額の国別統計及び推移を示し、米国のサービス産業の輸出が増大していることを挙げた。そして、先進国の多くが、モノ作りからサービスに転換している中で、日本のサービスの国際競争力が遅れをとっていることを指摘した。
サービスとは何か、サービスの基本的枠組みを『機能』と『価値』の観点から説明した。サービスの価値は品質とは同値ではない。即ち、品質がよくても、顧客はそのサービスに価値を感じるとは限らない。結局、顧客の求める価値をマーケティングする‐Value Marketing‐ が必要な時代になったことを強調した。
主題の“価値協創”について説明した。価値協創とは、ミシガン大学ロス・ビジネス・スクールのV. Rawaswamy教授とビジネス・コンサルタント F. Gouillartshi氏の唱える理論で、それを実行している企業としてグーグルやアップルを挙げる。サービス提供者と消費者とのコミュニケーション=ネットワークによって価値が創造される事をいう。価値協創過程においては、消費者は能動的な役割を果たす。
“日本の保険の現状と協創型保険の設計”の中で、日本の保険を取巻く環境や日本の保険成長ポテンシャル(国際比較)を数値で示した。この項では「あったら入りたい保険」をテーマに、実際に先生が行ったアンケート調査の結果を披露した。
詳細はIIABJウェブサイトの「会員リソース」に掲示していますので、参照ください。
次の講師はIBMのテリー・ビークナー氏。テーマは「独立代理店と保険業界に影響を及ぼすグローバルのビジネス及び技術トレンド」
先ず、保険業界が5つのトレンドによって方向づけられつつあることを述べた。5つとは、業界の推移、リスク、規制監督、世代変化、行動変容と洞察である。
業界の推移について、ビークナー氏は、将来の成功のために保険会社が取り組むべき問題として次を挙げている:
変わり易いビジネス環境
人口変動と構造の変化
不安定な投資収益
コスト増大
更に、顧客は変化したにも関わらず、保険会社はほとんど変化していないことを指摘、次のように言う:
顧客の保険業界に対する信頼度は低く、忠誠心も低下している。
保険会社が成功するためには、顧客の理解と正しい“相互意思疎通”が必要である。
代理店ビジネス成長のための技術革新として、SNSやポータルの利用を挙げている。
更に、代理店のポータル事例や日本におけるモバイルの事例を挙げた。
翌16日の総会では以下について議決された:
★会則の一部変更
第3章 役員
第12条
2.役員の選任方法は下記のとおりとする。
変更前:
(4)理事のうち、会長1名、副会長3名以内を理事会の互選により選任し、
就任については総会で承認を得なければならない。
↓
変更後:
(4)理事のうち、会長1名、副会長5名以内を理事会の互選により選任し、
就任については総会で承認を得なければならない。
★新役員は次のとおりです:
新副会長:副島昭弘 アームコンサルティング(株)
新理事: 浜中健児 (株)ピー・アール・エフ
総会後セミナーが行われた。講師は小島修矢氏(トムソンネット)、テーマは「巨大災害後の損害保険について(パラダイムシフト)」。世界における地震、津波を含む巨大災害の現状と予想について述べた後、先の東日本大震災についての詳細な報告があった。加えて損害保険会社への影響や被災企業の名称や所在地について説明があった。そして巨大災害に対応する“再保険”についての講義がなされた。この部分については、今後も勉強会で学んでいく予定である。