第30回ベストプラクティス大阪セミナー報告

基調講演は東京海上日動火災保険、企業商品業務部の教学大介氏による「サイバーリスクへの対応」であった。先ず、米国、欧州、日本におけるセキュリティ保険市場の規模について、更に、米国と日本のサイバー環境における法規制や社会環境について述べた。事故の実態については、ウィルス感染、データの損失や破壊、顧客情報の漏洩が主であるとのこと。事故例については業種毎に事故の内容を細かく説明した。氏は、不正アクセスがあった際の最初の対応が必須であることを強調、又、リスクマネジメント態勢を整えることが必要であると述べた。そして勿論、保険付保も重要である。東京海上日動のサイバーリスク保険の補償内容については実に分かり易い説明であった。又、別の都市で行うベストプラクティス・セミナーでお願いしたい講義である。
今回3回目の「当社の経営現状報告」の報告者は、ヒューマン&アソシエイツの生島秀一氏と岡山保険センターの成広巧氏であった。ヒューマン&アソシエイツは1988年設立、従業員数は49名。過去10年間、売上は着実に伸びている。2014年の経常利益は3千220万円だ。業績もさることながら、経営理念やビジョンが明確で素晴らしい。行動理念1)自己の成長を基本と考え、行動し、より以上を目指す;2)人の役にたてる人間になる;3)夢を追い続ける;である。社長生島氏のプロフィールを知れば、このような会社を創り上げた土壌は、若き頃の氏の経験に培われたことがわかる。
岡山保険センターの経営報告は2月の福岡セミナーに続いて二度目である。今回の報告者は社長の成広氏。1970年設立、従業員数は11人、今年売上は1億円を越えた。同社の強みは顧客満足を目指した事故処理体制である。3人の事故対応専門スタッフを置き、マニュアルを作り、きめ細やかなサービスを提供している。おかげで営業担当者はクレームに関わる必要なく、新規開拓に時間を費やすことができる。同社は、又、クロスセリングが成功している会社である。顧客を長く維持するために、又、リスクの隙間を防ぐために、複数の保険を扱うことは重要である。
ウィッシュの稲倉氏と甲南保険センターの田中真由美氏が、米国研修報告を行った。稲倉氏のエージェンシー訪問記は実に詳細であった。更に訪問時の写真と各エージェンシーの特徴を簡潔に記していたのは素晴らしい。例えば、RCM&D社の取引保険会社数150社以上、専門家によるリスクマネジメント・サービスの提供;ヘファーナン社の場合、取引保険会社数は800社以上、社内の雰囲気はアットホーム、チームワークを重視する;スィート&ベーカー社は、サンフランシスコに拠点を置き、顧客も市内在住の企業、個人に限る;スツラトン社は過去数年続けてベストプラクティス・エージェンシーに選ばれている小規模ながら実に優秀な会社である。テクノロジーをフルに活用している等など。
甲南保険の田中氏は、今年二度目の参加であったが、彼女は訪問先でいつも良い質問も投げる。渡された訪問先エージェンシーの概要を訪問前によく読み、予習をしていることがわかる。通訳をする私にとってはとても頼もしい参加者である。又、来年も参加してください!