第10回IIABJ年次大会の報告

第10回年次大会では総会後、IIABJの顧問であるピーター・バン・アートリック氏が「好業績をあげるためのプロデューサー管理と育成」と「SNSの活用による業績のアップ」について最新米国状況を報告した。プロデューサー(新規顧客開拓責任者)の管理と育成について、先ず、アートリック氏は経験のあるプロデューサーが引退に近づいており、若者の採用と育成が必要であることを説く。現在エージェンシー半数以上(55%~60%)が、引退していくプロデューサー人員を埋めるべく十分な人数の若者を採用していないことを指摘する;現在、エージェンシーが雇用するプロデューサーの55%は他社からの引抜き、29%が他業界からの採用、新卒はわずか6%を占めるのみである。また、エージェンシーの業績を上位25%、平均、下位25%に分け、それぞれの新規契約開拓能力(販売速度)を調べると、業績上位25%のエージェンシーの場合、プロデューサーの平均年令が低いという調査結果が表れている。上位25%の新規契約開拓能力は19.6%、平均は12.7%。下位25%のエージェンシーは7.3%であった。新規契約開拓能力(販売速度)は、新規手数料収入を前年度の契約手数料収入合計で割った値で表す。
「SNSの活用による業績のアップ」ではエージェントの営業・サービス活動について、従来と今後を比較した。今後のエージェント活動のキーワードとして、アートリック氏は、リスク・カウンセラー、顧客ニーズ重視、可動性、価値の提供などを挙げている。また、顧客にとって分かり易く、且つセルフサービス機能付きのウェブサイト、新しいマーケティング手法、ツィッターやリンクトインの利用などで業績を伸ばしているエージェンシーの例を多く挙げた。
「当社の経営現状報告」は今回が5回目である。昨年4月の米国研修に参加した株式会社バリュー・エージェントの千秋昌康氏が「当社の経営について;現状報告および便国研修を終えて」の題で報告した。オーナーの千秋氏は元東京海上火災保険会社勤務、2005年に同社を辞め、(株)バリュー・エージェントを設立した。保険だけでなく住宅ローンや不動産も手がける。社員数は47名、法人マーケットでは商工会、法人会、同業者組合との提携を利用する。Webデザイナーやプログラマーを雇用し、開業当初からウェブサイトを作成し、販売促進に役立てている。課題として、成長のための戦略作りと経営システムの強化を挙げた。続いて、千秋氏は米国研修報告と感想を述べた。千秋氏にはまた、別の都市でのセミナーで、ぜひ、発表頂きたい。