IIABJ第8回年次大会報告
2007年の第一回年次大会開催以来、今年は8回目。総会では武田会長による挨拶の後、2013年度の事業及び収支報告、2014年度の事業及び収支予算案の説明。次に新理事の紹介。数井氏に代わり梅沢氏が副会長、生島氏が理事に選任され、承認された。
先ず、武田会長によるIIABAとIIAB日本協会の沿革について。IIABAは1896年(118年前)、直販や手数料の引下げなど、保険会社間の問題に対応すべく設立された。1903年には契約の満期更改権をめぐり、ナショナル火災保険会社とエージェントのスラード氏が対立した。設立間もないIIABAは、独立エージェント団体の意義を発揮できる機会だと見なし、訴訟費用の資金を全米のエージェントから募り、同保険会社を訴えた。一審では敗訴したが、上訴、1905年には、保険契約の満期更改権は独立エージェントに属するという判決が下された。その後の保険会社との関係において独立エージェントの権限を確立することになった歴史的な判決であった。スラード氏の事務所がニューヨーク州ヨンカーズ市にあったことからヨンカーズ訴訟と呼ばれる。
次に、IIAB日本協会設立の意図を説明した。次の通りである:
- 日本に於ける保険関連法規に対する法制度運動
- 独立エージェント及びブローカーの発展や社会的地位の向上
- 若者を業界に呼び込むためのプログラム作成
- 保険会社との良好かつ互恵、平等の関係構築
- 独立エージェントとブローカーのテクノロジー改善
- IIAB日本協会独自商品の開発、等
最初の講師はインシュアランス・サービス社の清水氏。「事業継承の実際;経営方針、ビジョン、新しい組織つくり」について、継承のプロセス、経営計画及び業績の推移、基本方針についてジョークを交えながら講義した。基本方針として、氏は、経営理念の浸透と具現化、社員のスキルアップ、コミュニケーションの向上、営業推進部の増強、業務効率の向上、社内規定の整備・見直しを挙げている。
ワールドインシュアランスホールディング社の北村氏は「環境変化にいかに対応するか」について話した。氏は環境変化に対応するためのキーワードとして「人材」「最適なシステムの活用」「流れをつかむための方法」の三点を挙げる。人材:ワールド社は銀行や先物取引に従事していた人を中途採用している。更に、日々の運営に柔軟性を持たせるべく、東京、大阪、岡山などの支店間で人材を移動させる。営業については、個人にノルマを課さず、グループ毎に目標額を定めているとのこと。又、流れをつかむための方法として、法律改正や変革時を好機会と捉え、商品やサービスを決定している。
中村氏と浜中氏が4月の米国研修報告を行った。中村氏が訪問先5社について感想を述べた。5社の内4社がベストプラクティス・エージェンシーであり、生産性(一人あたり収入)は、1千8百万円~2千6百万円、利益率は19%~25%である。その他、ペーパーレス、二重モニターの利用、特定業種への特化、RMサービス提供などについて説明した。
長井氏は「経営計画の作り方と決算まで」と題し、経営理念(目的)、長期的ビジョン(目標)、経営計画の作成(方針)、運営(実践)、決算(結果)について講義した。氏は、先ず、京セラを設立された稲盛氏のアメーバ経営-確固たる経営哲学と精緻な部門別採算管理-に基づいた自社の経営基本を説明した。そして、経営理念(安心できる保険の信頼できる安全の提供及び希望あふれる未来の創造への貢献)、行動規範(幸福、利他、敬愛、顧客、想像、克己など)について述べた。更に、経営戦略、組織運営、会計方針、総務方針、配置方針、会議方針など、詳細な事例説明があった。
武田会長にはIIABA及びIIAB日本協会設立意義について、更に、清水氏、北村氏、長井氏によるそれぞれのベスト経営については、今後別の都市でのセミナーでも講師をお願いする予定である。