第26回ベストプラクティス札幌セミナー・第27回ベストプラクティス大阪セミナー報告
札幌セミナーでは、先ず「IIABAの沿革、IIABJの沿革」の題で武田会長と野田IIABAアジア担当事務局長が両協会の歴史や活動について述べた。IIABAは1896年設立、背景には手数料の一方的な引下げを含む保険会社との緊張関係があった。設立後の最初の問題が満期更改権に関わるエージェントと保険会社間の裁判である。エージェントの勝訴で終わるこのヨンカース訴訟によって、IIABAは全米の独立エージェントの結束を深めることに成功した。1960年代には書式の標準化を推進すべくアコードを立ち上げたのもIIABAである。70年代には標準書式化をやり遂げ、電子書式の標準化に取り掛かった。80年代には複数保険会社汎用のエージェンシー管理システム開発を推進した。このようなIIABAを参考にし、日本型独立エージェントの形成に努めるべく、2007年にIIABJが発足したのである。
パネルディスカッションでは、パネリストに武田氏(甲南保険センター)、長井氏(ウィッシュ)、浜中氏(ピー・アール・エフ)、野田氏(IIABAアジア担当事務局長)を迎え、森川氏(トムソンネット)が司会者となり「ベストプラクティスを目指して」をテーマに自社経営について語った。武田氏:甲南保険センターは、顧客のリスクを確認、分析するところから始める;顧客から必要とされるエージェントになること、そして、顧客に対するベスト・アドバイス提供の義務があることを強調した。長井氏:ウィッシュは全国に23拠点を置き、従業員100人余を抱える。6年前にシステムを大きく改善し、データは一回入力で済むようにようになった。目的は法令順守、情報の共有化、支援サービスの高次元化(いつでも、誰でも利用できる)である。二重モニターやヘッドセットを利用している。浜中氏:ピー・アール・エフの使命は「すべてのお客様を徹底的に守ること」、採用しているのは“保険リスク・マネジメント”である。即ち、保険で保護できるところを発見し、対応する保険を紹介する、というもの。顧客には事故例をあげて説明する。浜中氏曰く、どのような規模の顧客(産業、業種に関わらず;中小零細企業でも)経営者はリスク管理を意識している、とのこと。今年4月のワシントンD.C.法制度大会の総会で、あるベストプラクティス・エージェンシー経営者が同様のことを言ったのを思い出した。リスクマネジメントについて教育しようという意気込みで顧客に接触しない方が良い;顧客の方が賢いかも知れない。野田氏:2013年のベストプラクティス調査結果について説明。BP調査を開始したのは1993年であった。20年後、利益率は12%(1993年)から23%(2013年)に上昇した。一人当たり収入は二倍となった。ベストプラクティス・エージェントの特徴として1)組織がフラット(反ピラミッド型)、2)報奨制度や働き易い環境の提供、3)顧客の分類と管理、4)顧客や見込客との頻繁な接触、5)特殊商品やサービスへの特化、6)IT活用によるコスト削減、7)若者の定期採用、8)リーダー(CEO)がビジョンを持っていること、を挙げた。
19日大阪セミナーの第一部は上田氏、増田氏(共に甲南保険センター)、清水氏(ウィッシュ)によるCSR業務について。先ず甲南保険のベテランCSRの上田氏と増田氏が、同社におけるCSRとしての業務範囲、責務、課題について述べた。新規契約、異動、継続、計上、クレーム等の業務に日々どのように関わっているか;保険会社や営業担当者との関わり方について例を挙げながら説明した。特に、同社の業務処理システム-コンピュータを導入して25年-の価値と重要性を強調した。清水氏もウィッシュに20年のベテランである。現在、執行役員/営業管理部部長/法務部長を兼任する。CSRの職務について詳細な説明を行った。同社のCSRは営業支援として証券分析、提案書作成、申込書準備、電話や郵便を利用した勧誘、契約保全として、顧客対応、事故対応、支払い管理などに携わっている。同社が保険やコンプライアンスに関する教育やトレーニングに力をいれていることは明白である。第二部はウィッシュ、長井氏が自社開発システムについて述べた。同社は自社サーバーを設置している。それにはカスタマイズの必要性、コストの最小化、即時対応、安全性、一元化による効率改善という背景がある。同社のシステムは6種類のサーバーに支えられている;基幹データベースのためのWINDS、部門・社員管理のためのファイル、会計専用のPCA、情報共有データベースのためのロータスノーツ、個人情報管理のためのダイレクタ・秘文、そして旧ファイル・サーバーとしてのRS20である。一度、氏の講義を聴いて頂きたい。