第33回ベストプラクティス東京セミナー報告

基調講演はAIGジャパン・ホールディングス株式会社、専務執行役員兼日本担当チーフ・ディストリビューション・オフィサーのラリック・ホール氏によるAIGの戦略とビジョンであった。氏は、日本におけるAIG各社の営業活動全般を統括している。弁護士の資格を有し、業界では20年以上にわたり、営業店マネージャーや保険会社の営業担当役員、遺産相続計画や税務コンサルタントを勤めた経歴を持つ。ホール氏は、富士火災との統合や今後の販売戦略について表やデータを用いて説明した。直販は決して代理店を駆逐することはないとのことである。

「当社の経営現状報告」7回目の報告者は内田大介氏。オンワード・マエノ社の経営現状について述べた。先ず、同社にとってのターニング・ポイントとして、2016年5月の業法改正と2015年10月の長期火災保険の制度改正を挙げている。売上は1997年から2014年まで上向きである。役員を含む従事者数は18名、保険クリニック三店を運営している。同社が目指すのは、顧客の立場にたったリスクマネジメントの実践によるコンサルティング提供、高付加価値サービスの提供、顧客満足/従業員満足/取引先満足、である。これまで実施してきたこととして、内部体制の変更(サービスと事務の分業、法人顧客のダブル担当、生損保のクロスセリング)、法人顧客の層別化、保険以外のサービス拡大(コスト削減のコンサルティング、新電力の販売、カー・リースの取次ぎ、各種セミナー、住宅購入者向けライフ・プランニングなど)、社員のスキルアップ、体制整備を挙げた。とてもわかりやすい報告であった。

IIABAアジア担当事務局長の野田氏が独立エージェンシーの経営動向について述べた。先ず、日米の業界の違いについて説明した後、現在、米国で起こっていることについて述べた。主要な動きとして、M&Aによる保険会社やエージェンシーの大型化、データ分析による的確なアンダーライティングの導入、代替資本(CATボンド、Sidecar、ILSなど)の業界参入、IT活用の促進、新商品(シェア文化、ドローン、サイバー、マリワナ)の展開を挙げた。更に、ベストプラクティス・エージェンシーのプロフィールとして、規模別の従業員数とCSR数、更に、成長率、生産性、収益率、流動比率を示した。

武田会長がIIABAとIIAB日本協会の沿革について丁寧な説明を行った。